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matshのふらふら日記

2008/05/19(月) 映画「ネクスト」の原作を読んでみた

::小説
映画「ネクスト」をみて、多分原作からは「2分先の未来が見える」というアイデアだけとっているんだろうなと思い、実際に原作を買って読んでみました。フィリップ・K・ディックのゴールデン・マンという短編小説です。そういえば、何故か今までディックの本は読んだことがありませんでした。他にも有名な小説はあるのに最初に読んだディックの小説が「ネクスト」を見たからというのは、ちょっと変わってますかね。
さて、「2分先の未来がみえる」というアイデアだけ借用と踏んでましたが、予想に反して「2分先」というのは原作には出てきませんでした。原作では10分後に注意を集中するシーンとかもありましたし、何分先というのは決まっていないようでした。また、映画「ネクスト」では主人公は(予知能力がある以外は)普通の人間でしたが、原作ではミュータントということになっていて、タイトルのとおり全身黄金で神の像のような美しい姿をしたクリスという男性です。
原作の背景はX-MENのように特殊な能力を持つミュータントが時々生まれてくる世界で、ミュータントに取って代わられることを恐れた人類はミュータントを安楽死させる法律を定め、DCAという組織を使ってミュータントを抹殺しているという設定です。そこで予知能力のために18年間見つからなかったクリスがDCAに捕まってしまうというストーリーです。
映画との共通点を考えるとほとんどないんですが(笑)、どこに発射されるかわからない銃を完璧によけてみせるところとかは映画「ネクスト」にも銃をよけるシーンがあったとか、いくつかの未来を試してうまくいく未来をたどっていくような場面があるところくらいでしょうか。
ちょっと驚いたのは、主人公はクリスなのかと思っていたら、そうではないのです。クリスは話をしたり人との意思疎通をしないんです。予知能力があるために人と話をする必要はなくなっているし、どうやら考えることもしないらしいのです。これではクリスに感情移入が出来ません。ということでクリスを主人公として描いている訳ではない様子です。かといって誰が主人公だろうかと考えると、この人だっていう人物はいません。ちょっと不思議な感覚ですね。
予知能力を持った主人公がバンバン活躍するアクションものを期待している人は、そういう物語ではないということをわかって読んだ方がいいでしょう。また、短編なのでミュータントを抹殺すべきなのか共存すべきなのかという倫理的な面についても突っ込んだ描写はありません。
物語の鍵は、予知能力以外にももうひとつ、その黄金像のような美しい姿が大きな武器だった、というところにおいてあるんですね。だからタイトルも予知能力に関したものではなく、「ゴールデン・マン」になったんでしょう。

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